デンタルインプラントの歴史

インプラントの起源

インプラント とは、体内に埋め込まれる器具の総称であるが、失った歯を人工材料で補うデンタルインプラントの起源は古く紀元2世紀から3世紀の古代ローマ時代まで遡ります。

その後、さまざまな材質を用いての治療が試みられてきましたが、その予後は著しく悪く広く普及するものとはなりませんでした。

インプラント治療最大のブレークスルー(チタン性インプラントの登場)

1952年スウェーデンのルンド大学で研究を行っていたペル・イングヴァール・ブローネマルク教授によって、チタンが骨と結合することが発見され、チタンがインプラントに応用されるようになり、骨に結合するインプラント治療が可能になりました。この骨と結合がデンタルインプラント治療に生体親和性と長期的な機能といった恩恵を与えるものであり、現在に至るまでのインプラント治療の基礎であります。動物実験を経て、1962年から人間に本格的にインプラント治療が行われるようになりました。ただ、ブローネマルク教授が歯科医師ではなかった事などがあり、批判的な立場の歯科医師も多く普及には至りませんでした。

デンタルインプラント臨床普及

1978年に初のデンタルインプラントのコンセンサス会議が、ハーバード大学アメリカ国立衛生研究所の共催で開催されました。この会議はデンタルインプラントのデータ収集と分析の評価基準と標準が確立された象徴的な会議であったと評価されております。大きなターニングポイントとなったのは1982年のトロント会議。そこで予後15年の症例が報告され、一大センセーショナルを巻き起こし、北米を中心に普及が始まりました。

インプラントの臨床応用のゴール 1980年代から現在まで

〇初期〜中期

安全に確実に一般臨床に応用するかが研究、開発され多くの患者様に応用され始めた時代であったと言われております。言い換えると、いかにインプラントと骨との結合を確立しインプラ喪失した歯を補い咀嚼機能を回復するかということです。インプラント治療の適用範囲も下顎の総入れ歯への応用から始まり、一本の歯の喪失、複数の歯の喪失への応用へと進歩していきました。治療時間の短縮やインプラント治療のための骨造成術といった事柄が注目、研究され始めます。

〇過渡期

2000年代半ばからインプランと治療のゴールの概念が大きく変わってきます。

それまでは前述の通りインプラントが咀嚼という営みの中で機能し、長く口の中に生存することがゴールでした。現在のゴールはそれに加え、いかに審美的な結果を得られるかといことになってきております。審美な結果とはインプラントが天然歯と変わりない機能、見た目を得るという意味です。残念ながら、このレベルの治療は未だにとても難易度が高いうえにすべてのケースで実現が可能ではありません。

〇現在

デンタルインプラントの治療が確立し広く普及され、多くの患者様へその恩恵を提供できる時代になりました。しかし、その一方で安易にインプラント手術を行う歯科医師が増え、多くの失敗や合併症が報告されるようになってきました。母校であるニューヨーク大学では不適切なインプラント治療による失敗や合併症のための再治療がとても多くなってきております。また、恩師である世界的なインプラント治療の権威であるDr. Tarrnowの医院では50%以上が他医院でのインプラント治療の再治療を行うといった現状のようです。

これまでインプラント治療成績が語られるとき生存率という言葉が使われてきました。しかし、2000年頃から、インプラントの治療成績の評価にあたって生存率と成功率という2つの概念が定義され区別されるようになりました。この二つの言葉意味は大きく違います。生存率は単にインプラントが口腔内に存在する比率をさし、成功率は生存率に加え機能や審美も加えたより厳しい基準に基づいたものとなります。

歯科医師がインプラントの治療成績を患者様にご説明しご理解いただくときには成功率について考えられるべきです。残念ながら、未だにこの二つの表現は混同され研究者、社会、歯科医師、患者様に間違って理解されております。

インプラントの専門医院である当医院ではインプラントの生存だけではなく成功といった厳しい評価基準に基づいた良質な医療の提供と、不適切なインプラントへの再治療を必要とされる患者様に高い技術をもってお応えします。

筒井歯科

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